コウフ狂想曲
■偏愛・理系■ ヴァンフォーレ甲府を中心に諸々を綴るブログ
 
雨上がりの夜空に
2009/J2第23節 6/24(水) 甲府 6-0 福岡 小瀬:9,058人 晴 24.6℃ 73%
甲(27)藤田(31)大西(51)シンヨン(64)(70)マラニョンx2(85)國吉

チームとしてはリーグ戦最多タイ記録となる6得点。
ゴールラッシュも素晴らしかったけど、失点せずにゲームを締めくくれたことがさらにその価値を上げました。
6点差での勝利はクラブ初とのこと。
点差に気を緩めることなく、攻守ともに最後まで果敢にプレイを続けたことが記録的な大勝という結果に繋がりました。

その口火を切ったのは藤田。
前節の停滞した攻撃の記憶を振り払うかのように、ボールを奪ってから一気にドリブルで駆け上がってのシュート。
マラニョンとぶつかりそうになりながらも、難しい位置からよくゴールを決めました。
主導権を握りつつも試合展開が膠着しかけた時間帯だっただけに、待望の先制点を奪ったことで「スタジアムはビンビンだぜ」状態になりました。

そして、大西の2試合連続となるゴールで追加点。
マラニョンが潰され、こぼれたボールにしっかり詰めたからこそ奪えたゴールで、前節のロスタイム弾を彷彿させるもの。
たたみ掛ける攻撃で2点目を奪い、福岡に対して大きなアドバンテージを得ました。
福岡の試合をいくつかテレビで見た限り、今の福岡は下位に低迷する新加入チームを除いたJ2チームのなかで、おそらく一番厳しい状況ではないかと思っていただけに、勝敗を左右する大きな追加点になりました。

花火花火

ハーフタイムには、“神明の花火大会”のピーアールを兼ねた恒例の激励花火。
てっきりアウエーゴール裏側から上がるものだと思っていたので、いきなり後方から音がしてビックリ。
「雲の切れ間に散りばめたダイヤモンド」ならぬ夜空に浮かんだ大輪の花が、後半からのお祭り騒ぎの号砲になりました。

後半早々、シンヨンが追加点。
あれよあれよと言う間に福岡DFの間を通り過ぎたボールを難なく押し込みました。
あまりの呆気なさに、得点者をダニエルと見間違うほどにこちらが混乱。
「どうしたんだ Hey Hey 福岡&オイラ」。

この3点目で、いよいよこの試合の楽しみのひとつでもあった片桐の出場の可能性が大きくなりました。
しかも、あまりプレッシャーの掛からない状況という願ってもない展開で。
小瀬はそうしたことを良く知っている稀有なスタジアム。
後半18分にシンヨンから片桐に交代が告げられると、ひと際大きな拍手が沸き起こりました。

そして、このところチャンスメーカーとしてチームを支えてきたマラニョンに、ゴールという誰にも分かりやすい結果が生まれることを願いました。
「いつものようにキメて ぶっ飛ばそうぜ」。
すると、これまた成就。
相手DFのミスを突き、GKをかわして久し振りのゴールで4点目。

さらに続けざまに、片桐の丁寧なパスを受けて抜け出し、豪快にゴールネットを揺らして自身2得点となる5点目。
片桐については、甲府移籍が発表されてから改めて岐阜対湘南戦をテレビで見たけど、技術もあり、どちらかと言えば人に使われるより人を使うほうが上手い選手かな、という印象。
合流してまだ間がないながらも、その片鱗を垣間見ることが出来ました。

それにしても、こうゴールが続くと歓喜のハイタッチもまるでルーチンワーク。
可愛い女の人→可愛い女の子→可愛いおばちゃん→いつもの人→いつもの人→可愛い女の人。
偶然にも、いつもの人達を除けば野郎が入っていない絶妙なポジショニングでした。

そして、締め括りは若手の活躍。
マラニョンと吉田のワン・ツーからマラニョンの折り返しを國吉が決めて6点目。
スペースへ人とボールが連動して相手DFを崩した素晴らしいゴール。
この得点前にも惜しいシュートを放つなど、キレのある良い動きをみせました。
この試合では出番のなかった輪湖や井澤を含め、若手の台頭が目立ってきたことは、補強のみならず、チームの総合力アップを感じさせるものでした。

これ以上、何を望む?と言わんばかりのゲーム。
確かに福岡のチーム状況を考えれば、他のどの相手にもこうしたゲーム内容を続けていけるかどうかが鍵となるけど、まずは、この試合で出来たことを喜びたい。
心行くまでの歓喜に満たされた小瀬。
雨上がりの夜空に、「ジンライムのようなお月さま」が出ていたかどうかは気付かなかったけど、“ボクの好きな甲府”が戻ってきたような心地良い感覚に包まれました。

凱旋する選手を迎える甲府ゴール裏

これで首位の湘南まで勝ち点差2。
上位3チームに劣っていた得失点差も、やっと肩を並べることが出来ました。
まだ、リーグ戦は半分以上が残っています。
J1復帰を懸けた戦いのスタートラインにもう一度立ったつもりで、楽観も悲観もせず、自信を持って強くなって欲しい。
辛うじてドロー
2009/J2第22節 6/21(日) 富山 1-1 甲府 富山:3,498人 曇 29.3℃ 67%
富(34)石田 甲(89)大西

曇り時々雨だった予報は見事に外れました。
甲府を出発した早朝は雨でしたが、天気は徐々に回復。
北陸自動車道に入る頃には雨はすっかり上がり、富山に到着する頃には青空が見え始めて気温も上昇。
日差しから逃れようのないスタンドでは、おてんと様が雲に隠れるとホッとするほどの暑さになりました。

初めて訪れた富山県総合運動公園陸上競技場。
収容人数25,250人ながら、メインスタンド最上段の高さでグルッと囲まれているせいか、とても大きく感じる立派なスタジアム。
ただ、この日は大型の電光掲示板が故障で使えないとのこと。
この8月に小瀬の電光掲示板がオーロラビジョンになることもあって、他チームの選手紹介に興味があっただけに肩透かしを食らいました。

富山県総合運動公園陸上競技場

「なんだよ、故障かよ。ダメじゃん」と思ったものの、あの“停電”をやらかしているチームのサポーターとしては、あまり文句を言えた義理じゃありません。
その代わりに会議室で使うようなホワイトボードが即席のスコアボードになり、甲府ゴール裏からは急遽出場となったホワイトボードにコールが起こりました。

近距離アウエーほどではないにせよ、甲府サポーターは大勢駆け付けていました。
なかなか達成できない4連勝の壁をチームと共に乗り越えるためか、前回敗戦のリベンジを果たすためか、はたまた富山の旨い魚介類に釣られたのかはさておき。
16時キックオフとは言え、思い掛けず暑さとの戦いにもなった一戦。
ゴール裏に陣取り、「勝つぞ!」と気持ちを引き締めて声援を送ったのだが・・・

甲府ゴール裏

それにしても・・・

富山は手強かった。
前回小瀬で対戦した時よりも、前節のC大阪戦をテレビで見た時よりも、中盤での素早いプレスが効果的で、ボールを奪ってからの攻撃に速さがありました。
足を止めずにワンタッチ、ツータッチで次々にスペースへと人とボールが動く。
面白いようにパスを回されたシーンもあったなあ。
失点はロングボールからの1点だけだったけど、それ以外でも甲府の守備は翻弄され、何度も危険な場面を作られました。

甲府はマラニョンが前を向いて仕事をさせてもらえずに攻撃は停滞。
「後半までもつかな?」と思わせた富山の運動量は少しも衰えることがなく、終始甲府に圧力を掛け続けました。
そのため、甲府は好調時に見せていた連動性が影を潜め、淡白な攻撃を繰り返すだけ。
前線と中盤が間延びして、最終的には個々の単発的な動きに頼るしかない、チームとしてはギクシャクした戦い方でした。

それでも、池端を前線に投入すると状況はやや好転。
相手に疲れが出てきたのか、それとも守備意識が強くなったのかは分かりませんが、甲府は前線の選手に動きが出たことで相手ゴールに迫るプレーが増えました。
そしてロスタイム、試合途中には「代えたほうがいいんじゃないかな」と思わせていたマラニョンがやっと前を向けてクロスを上げ、池端のヘッドが弾かれたところをしっかり詰めていた大西がシュート。
ゴールネットが揺れ、起死回生の同点弾に甲府ゴール裏は狂喜乱舞。
富山まで来た山梨、いや、甲斐がありました。

結果的には、甲府に幸運をもたらした8分のロスタイム。
シンヨンがらみの二つのファウルで生まれた長いロスタイムでした。
ファウルをめぐって一時騒然とした雰囲気にもなりましたが、口汚い野次を除けば、それはそれでゲームの醍醐味でもあり、勝負の綾にもなったと感じました。

同点後はイケイケ状態になったけど、残念ながら時すでに遅し。
もう少し早い時間帯に追いつく事が出来ていれば、とも思うけど、この日の富山の出来の良さを思えば、「負けなくて良かった」が正直なところです。
劣勢のなかでも最後まであきらめず、ドローに持ち込めるようになったのは昨シーズンより成長している証。
ただ、J1に復帰するためには、上位3チームだけでなく中位でも調子を上げてきているチームがいる状況では、まだまだ力が足りないと感じた一戦でした。

明日はもうホーム小瀬で福岡戦。
この試合のドローを価値あるものにするためには、福岡戦での勝利が必須です。

路面電車が走る富山駅前


市庁舎展望塔より富山市街と立山連峰を望む。山は見飽きている。

これじゃあ、ダメだ
2009/J2第5節 3/29(日) 甲府 0-1 鳥栖 小瀬:10,108人 晴 14.4℃ 12%
鳥(33)日高

持ってる力の半分も出ていない。
いや、出していない。
そう言う意味では、記憶にある限りクラブ史上最低の試合と言っていい。
実に腹立たしい。

ピッチの上で楽をしたいんなら、サッカーで飯を食わなきゃいい。
そんな選手をピッチに送り出す監督の目は、節穴だと言われても仕方ない。
勝敗とか、J1とか、それ以前の問題。
いつの間にこんな生温いチームになっちまったんだ。

帰り道、年配夫婦のこんな会話を耳にした。
「ちょっと前までは勝っても負けても一生懸命さが伝わってくるチームだったのにねぇ」
「ここんとこ、試合がつまんないねぇ」
まったく同感だ。
観客が半分になっても文句は言えまい。

実戦レベルではない秋本と林のドイスボランチも不満だ。
怪我人が出て、中盤の構成に苦労しているらしい鳥栖に対して何故?
ホームで4連勝を掴み取ろうという積極的な采配とは思えない。
前半の不甲斐ない戦い方がすべてを物語る。

ワンプレー終われば歩き出し、連動とはほど遠いQBK状態。
動き出しが遅いし、体が動いてないからミスも多い。
半歩の頑張り、一人でダメなら二人、一回でダメなら二回といった粘りも見えず。
絶え間ない波のように90分間動き回ることこそが「甲府らしさ」だったのになぁ。

後半になって慌てたって遅いよ。
どこへいっちまったのかな、いつも心を揺さ振ってくれたチームは。
岐路に立つ甲府
2008/J2第23節 6/29(日) 甲府 0-4 湘南 小瀬:7,267人 雨 21.3℃ 85%
湘(6)阿部(32)田村(83)(85)リンコンx2

降り続く雨の中、試合開始前には少しだけ陽が差し込んで虹が掛かった小瀬。
しかし、それも束の間でした。
再び暗雲に覆われると落ち始めた雨は弱まらず、かえって強まったような。
そして、山形戦で連敗を止めた流れを活かし、この一戦に再起を懸けて臨んで欲しかった試合は惨敗という結果に。
チームの現状と空模様は重なり、気が滅入る夜になりました。

甲府ゴール裏

試合は立ち上がりから積極的な動きが見えず。
凡ミスから1点目を失うと2失点目は相手をまったくフリーにしてしまい、ミドルシュートが甲府ゴールのネットを揺らしました。
2点を先制して主導権を奪った湘南が守備を固めてくるのは至って当然。
それによってクローズになってしまったのか、それとも自らの選択だったのかは分かりませんが、狭いエリアでのボール回しからの攻撃は形にならず、ちぐはぐさだけが目立ちました。

後半になってからも、攻守ともに歯車が噛み合わない甲府。
日程的には甲府よりも不利だった湘南ですが、ここぞという時の選手の動きは体力的にも精神的にも甲府より遥かに切れがありました。
後半の2失点は自然の流れであり、甲府の反撃は期待薄。
それにしても、この試合は見所のないものに終始してしました。

アウエーゴール裏

クローズが顕著になればなるほど、停滞する攻撃。
昨シーズンみっちり体に仕込んできたものだけに、選手がやり易いプレイスタイルだとは思いますが、どうもそれが逃げ道のようになっている気がします。
クローズという戦術の幻想。
甲府が低迷している原因のひとつは、そんなところにある気がします。

2007年、J1・2年目の甲府に特殊とも言える戦術が生まれました。
技術、走力、肉体的強さなど個人能力で劣るチームがJ1で戦い抜く術はあるか。言い換えれば、バレー離脱後のビンボーな地方小クラブのJ1残留大作戦。
能力を要する長い距離や一対一での対人勝負を避け、短い距離(狭いエリア)のパスワークで数的有利な状況を作って攻める戦術。

大木武前監督の元に連動を磨いてきた素地があり、徹底した練習で練り上げることが可能なクラブチームの甲府だからこそ生まれた“クローズ”という戦術。
その考え方が季刊誌のサッカー批評(issue35・2007/7)に載っています。
読まれた方もいると思いますが、“甲府スタイルの設計図”と副題が付いたその記事をちょっと長いけど一部引用します。
・・・・・・
アキレス腱とふくらはぎの区別がつかないほど筋肉が発達した身長185cm超のアフリカ系黒人選手を見るとき、大木はいつも、
「走ったら勝てるかな。勝てないよ」
と思う。2005ワールドユース予選A組の日本対オランダを観たかと訊くと、大木は「観ていたよ。左サイドのやつ、めっちゃ速かったじゃん。ぶっちぎられてた」と、あらためてクインシー・オウス・アベイの快速に呆れた。いまは甲府に所属する増嶋竜也率いるU-20日本代表DF陣は、褐色の弾丸に引きずられ、まったく応対できていなかった。
「どういうサッカーをすればいいか、オレのなかでは答えが出てるんだけどね。10m、20mだったらそんなに負けないよ」
だったら、その10m20mで勝負すればいい?と訊ねると大木は同意した。
「そうそう。1対1でかなわなかったら1対1じゃなくて2対1にすればいい」
大木はパン!と手のひらを叩きながら、身長180cm台の大型選手にぶっつかられて吹っ飛ぶくらいなら、当てなければいい、と答えた。
「よく協会の話にコンタクトプレーが弱いって必ず出てくるけど、じゃあ当てなきゃいいじゃない。そういう発想にならないのかな。オレなんかそういう発想だけどな。もちろんドリブルもダメなわけじゃない。当たるぐらいだったら、じゃあパスで逃げろよと。逃げろっていうとみんなアレかな、あまり馴染まないかな。でもオレはそう思うよ。逃げてもう一回受けろよ。そうすると簡単に答えが出てきちゃうような気がするんだけどな」
大木は破顔一笑してこう付け加えた。
「オメー単純だな、って言われるかな」
昨年、降格候補最右翼と謳われた甲府をJ1に残留させ、さらにそのサッカーが持つ娯楽性で大いに注目を浴びた大木が「単純」であるはずはないのだが、しかし根が単純なのだとしても、小難しくひねりすぎて正解から目を逸らすよりは、シンプルに考えて正解を見つめられたほうがよいだろう。
「長い距離を走れなければスモールスペースでやればいいわけだ。背がそんなに大きいわけじゃないから、ロングボールを蹴られたらやられる。(ならば)前から(プレスに)行けばいいだろう。……簡単だと思うんだけどな(笑)。オレだけか、そんな単純なやつは」
・・・・・・
これは日本スタイルの道標ということで、Jリーグから始まる「日本化」をテーマにしたインタビュー。
世界のなかで日本はどう戦うかということでしょうが、この考えが甲府の“クローズ”の元にあるようです。

個人的にはこうした戦術に興味がありました。
同時に財政的背景からクラブとして挑戦することには意義があると思えました。
そして、J1に引き上げた大木さんだからこそ個人的に容認出来た“実験”でした。
しかし、実験は失敗。
思えば矛盾を含んでいました。

密集のなかで手数を多く必要とするプレイは判断力と精度といったそれなりの能力を求められ、遅攻になるためにいつも“クローズのその先”が課題になりました。
弱者が強者に挑むためのものが、弱者ではこなしきれない難しい戦術。
ならば“クローズ”から“オープン”と言っても、そもそも“オープン”の局面では数的に不利かイーブンな状況。
そこで有利に戦えるなら、ハナからこんなややこしいことをしなくてもいい訳です。
だからこそ大木さんは“オープン”なんぞ頭になかった(恐らく)。

そして、一番の問題は歪曲化された評価。
J1残留とこの戦術とは時間的にズレがあるのに、成功と失敗がない交ぜになってしまい、いつしか甲府のあるべきスタイルのように語られるようになってしまったこと。
安間監督や選手に拘りがあるとすれば、そういうところじゃないのかなと。
挑戦は意義があった(と思いたい)が戦術としては失敗だったと認識しない限り、チームを向上させる劇的な変化は起きないんじゃないのかな、と思えます。
何が戻るべき甲府のスタイルかは、いまさら言うまでもなく。

見え隠れする“クローズのその先”。
ただ、ここまでやって出来ないのであれば、もういいんじゃないかな。
解けぬ難題をいくら追いかけていても埒が明きません。
不明確な“継続”という大義名分のもと、マイナスからのスタートはJリーグ1年生監督には荷が重過ぎました。

ここまで来たからには、腹と腰をしっかり据えて付け焼刃ではない対策が必要。
フォーメーションを含む戦術的な拘りを一度捨てて、最初からすべてやり直す。
再構築していくには時間もかかるでしょう。
それでも、このままズルズルいくよりかは未来があるように思えます。

順位表