コウフ狂想曲
■偏愛・理系■ ヴァンフォーレ甲府を中心に諸々を綴るブログ
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--) --:--:--| スポンサー広告 | トラックバック(-) コメント(-)
勝ち切れず
第16節 7/29(土) 甲府 1-1 浦和 小瀬:17,000人 曇 28.1℃ 62%
甲(62)藤田 浦(75)三都主

J1リーグ再開後の4連戦、ここまで2勝1敗と勝ち越しての4試合目。初戦の京都戦後、二つのアウエーゲームを消化したVF甲府は、首位争いを展開中の浦和をホーム小瀬に迎えた。大挙して押し寄せるだろう浦和サポと人気チームの登場には敏感に反応する山梨県民気質を考慮して、だいぶ早目に小瀬に到着。と言っても、ほぼ開門と同時刻。スタジアムに隣接する補助競技場の外周には、バックスタンドホーム側入場者による長蛇の列が造られていた。列の長さは、開幕戦や昨季の入れ替え戦を上回る長さのようだ。

アウエーゴール裏を埋めた浦和サポ
バックスタンドの浦和サポメインスタンドの浦和サポ
アウエーゴール裏は開門直後から徐々に赤く染まり、密度を高めていった。狭い緩衝地帯に隔てられたバックスタンドアウエー側は、初めは空席が目立ったがキックオフ間近には埋まっていった。メインスタンドアウエー側は「赤率」も低く、キックオフ直前になっても疎らだった。チケット争奪の喧騒や戦前の煽りから、溢れんばかりの赤一色を想定していただけに肩透かしを食ってしまった甲府サポも多そうだ。

そのお返しではないが、キックオフ直前の緊張感が高まるなか、高校生のチアダンスで浦和サポを華麗に肩透かし。浦和サポに限らず、拍子抜けのMCにご立腹の様子。まあ、そう怒らずに。ちょっとカルシウム、いや穀物が足りないようだ。もっと、ハアハア出来ないものか。

出場メンバー出場メンバー

先発メンバー、フォーメーション等は上の通り。一度緊張の糸はほぐれたものの、熱気をはらみながら甲府のキックオフでゲームは始まった。

この試合、甲府は攻守の要である林を警告の累積で欠いた。林不在による攻撃の組立方法や守備のバランスに注目した一戦。林に代わって起用されたのは鶴見。前半8分、その鶴見と克哉が接触して克哉が痛む。立ち上り、連携に少しミスが目立った。

何回かの攻防を経て、19分、甲府に大きなチャンスが訪れた。山本のフィードに左サイドをバレーが駆け上がり、中央に切れ込んでシュート。バレーらしい思い切りの良いシュートだったが、ポストに弾かれて先制ゴールを逃した。21分、山本が相手の浮かしたパスをヘッドでカットして克哉へ。藤田へ繋いで左サイドからクロス。バレーが飛び込むがミートせず、逆サイドへ流れたボールを茂原が折り返すもGKに片手で弾き出された。

甲府はボールを奪ったポイントから素早く前にボールを運び攻撃を組立てる。いつもなら中盤の底に位置する林を経由するが、この試合はシンプルにサイドを使って攻め上がった。両チームとも、中盤でガツガツとボールを奪い合う訳でなく、交互にシュートチャンスを迎えるような試合展開になった。

24分、浦和は右サイドから平川、山田と繋いで小野がボレーシュートを放つが枠を大きく外す。26分、またも平川が右サイドから切れ込んでシュート。サイドネットが揺れて、一瞬ヒヤリとした。スピードに乗った平川は脅威だったが、ワントップの田中達の動きに恐さはなかった。供給されるボールが精度を欠き、前線で孤立した。復帰後の連戦による疲労があるのか、シュートは序盤に放った1本に留まった。

一進一退の攻防が続く。30分、相手CKからの攻撃を防ぎ、克哉から左サイドの太郎へ。太郎のクロスに茂原がヘッドで合わせるがボールは右サイドへ流れる。ボールに追い付いた藤田が中央に折り返して鶴見が強烈なシュートを放つ。ブロックに入った闘莉王をダウンさせて弾かれたボールを今度は浦和がカウンター。左サイドから小野が駆け上がり、切り返す。一瞬、大きくシュートコースが開いて、鶴田と一対一になる。「あっ、やられた」と悪いイメージが頭の中をよぎったが、シュートは大きく外れて命拾い。その他のプレイを含め、小野は不調のようだった。42分、甲府左サイドで与えた三都主のFKを鶴田が好セーブ。前半は共に得点を奪えずに終了した。

甲府商業高校ソングリーダー部による演技の披露シュート数は甲府5本、浦和6本。枠内は甲府4本、浦和2本。やや甲府優勢に感じられたが、そう簡単にゴールは奪えない。浦和はボランチがDFラインに近い位置まで下がり、時には5-4-1のような布陣でリーグ最小失点の堅守を見せる。体力のペース配分なのか、いつもの戦術かは分らないが、プレスというよりリトリートな守備スタイルなため、甲府中盤のパス回しのミスをさらわれてカウンターという、甲府失点パターンの危険は少なかった。強豪相手に前半を無失点、甲府の勝ちパターンを匂わせる展開になった。

後半4分、ビジュ、山本、バレー、藤田、茂原とパスを繋いでシュートで終わる。ここ数試合では少なかったサイドからの攻撃が効果を発揮した。14分、太郎のシュートはGKの好セーブで防がれたが、17分、小瀬に歓喜の時が訪れる。左サイド、山本のインターセプトから太郎にパスが通り、駆け上がった太郎からのクロスにファーサイドの藤田がヘッドでゴールネットを豪快に揺らす。藤田にしては珍しいヘッドでのゴールがJ1初ゴールとなった。

24分、腰をひねったようで山本が井上と交代する。前半から平川とのマッチアップが続いたが、粘り強い守備を見せた。このゲームでは、得点シーンだけでなく何度か山本のボール奪取が攻撃の起点になった。良い時の山本のパフォーマンスを存分に見せ付けた。

1-0で甲府リードのまま試合は終盤へ。ここまで、秋本、ビジュを中心に破綻のない守備を見せていたが、三都主の個人技によって同点にされる。30分、長谷部を経由して左サイドでフリーになった三都主にボールが渡る。杉山が寄せるが、三都主の左足からのシュートはニアサイドをケアした鶴田の逆手を取るようにファーサイドへ転がり込んだ。浦和が放った後半1本目のシュートで試合は振り出しに戻ってしまった。

前線の人数を増やして攻勢を掛ける浦和と凌ぐ甲府。同点直後の時間帯は浦和のペースになりかけるが、甲府は決定的な場面を作らせない。逆に44分、左サイドで井上のインターセプトから茂原がクロス。38分に太郎と交代していた堀井がシュートを放つが、僅かに枠を外れた。最後まで浦和を追い詰めたが、勝ち越しゴールを奪えずにゲームは終了した。

後半のシュート数は甲府6本、浦和1本。枠内は甲府4本、浦和1本。試合を通してのボール支配率は甲府56%、浦和44%。悪い時のようにボールを持たされていた場面は少なかったので、この支配率はそのまま試合内容を示すものと言ってよさそうだ。人とボールを動かす甲府らしいサッカーが100%出来たとは思わないが、堅実な試合運びは出来た。しかし、あと1点が奪えず、1本のシュートに泣いた。

ひとつのチャンスやピンチに喚声が沸き上がる独特の雰囲気を持つ小瀬だが、もう一度だけ大きな歓声に包まれるシーンを見たかった。ワシントン、ポンテの主力を欠く浦和だっただけに、勝ち切りたかった。しかし、前節はバレー、今節は林と主力を欠きながらも、交代選手の特徴を生かしながら戦う事が出来ている。試合後に挨拶する選手の表情や監督、選手のコメントにも「引分で良し」とするものはなかった。暫くリーグは中断するが、4戦を2勝1分1敗で勝ち越した勢いを次に繋げること、それが大事だ。

試合後、拍手と歌で選手を迎えた甲府。無言で選手を迎えた浦和とは対照的だったが、やり方はそれぞれ。誰に文化を教えて貰わなくとも、既に41年前にこの地に生まれたサッカークラブとしての文化は、紆余曲折を経ながらも脈々と続いている。甲府独自のスタイルを次に繋げること、それも大事だ。
スポンサーサイト
明日は浦和戦
長雨が終わったとたん、蒸し暑い日々が戻って来た。前日には、時々雨と予報された明日の小瀬の天気だが、雨マークがなくなって終日曇りに変わった。夕方からの湿度は50~55%とそれ程高くなく、甲府にしては過ごし易い天気になりそうだ。

明日対戦する浦和とは、リーグ戦ではJ2での2000年シーズン以来、6年振りの対戦となる。その年の9月、小瀬で行われた浦和戦を見に行っている。スタジアムの改修によって今は無いホームゴール裏の芝生席、メインスタンド寄りに腰を下ろしながらピッチの対角線上を見上げる。そこには、バックスタンドの約三分の一を埋めた浦和サポーターがいた。「大勢来たね~」、「ほら、応援もすごいよ」と試合内容は忘れたが、そんな話しをしながら眺めた記憶が残っている。当日の観客数は4,891人。その年の小瀬の観客動員数の平均が1,850人だから、その試合の観客の半分くらいは浦和サポーターだったかも知れない。その当時から残っている甲府の選手は倉貫ひとり。一方、浦和は山田、内舘、永井、岡野、小野らが既に在籍していた。

当時の状況は6年経って大きく変化した。チーム存続の危機からJ1昇格を果たした甲府とJ1復帰後、ビッグクラブへの道を突き進む浦和。ただ、最も大きく変化したのは、「甲府が浦和に勝つ確率」だろう。浦和は「走る千葉」に昨シーズンのリーグ戦、ナビスコカップ、そして今シーズンの第11節と敗戦を重ねている。迷わずに、走って動く甲府のサッカーを90分間貫き通せば、チャンスは必ず生まれる。

勝てっこない? そんな言葉は、今の小瀬には似合わない。


最近4試合の成績


第16節 予想
第16節予想
※予想方法の詳細はこちら


順位表


第15節 予想と結果
第15節予想と結果
頼りになる男
第15節 7/26(水) 広島 1-3 甲府 広島ビ:5,545人 曇一時雨 25.0℃ 89%
広(44)ウェズレイ 甲(2)秋本(6)茂原(44)太郎

このところ、スカパー、BS、地上波他テレビ生中継が無い。FM甲府でラジオ生中継があったが、実況を解釈するのに分度器が必要?との事。そりゃ、ややこしいって事で甲府戦が生中継になっていたインターネットライブ中継を初めて視聴した。

広島ビッグアーチ試合開始30分前から会場の様子やウォーミングアップする選手が映し出された。バレー不在時のキーマンとして、須藤の表情がアップで捉えられる。思わず画面に向かって「頼むよ」と声を掛ける。甲府サポの姿もはっきりと映し出された。広島ビッグアーチの上空には青空が見えたが、アーチを覆うような雲も垂れ込めていた。

勝点1点差で13位と14位に並ぶ甲府と広島。「大事な一戦」が薄暮のなかキックオフ。共に慎重な立ち上りになるかと思いきや、試合は序盤からいきなり動いた。

出場メンバー出場メンバー

試合開始直後、克哉がミドルシュートを放つ。GKが弾いてCK。右ショートコーナーから藤田がクロス。これが再びCKになり、そのCKからの攻撃で須藤がシュート。相手DFに当たってこぼれたところを須藤が秋本に繋ぎ、秋本がやや左サイドからゴール右隅にグラウンダーでシュートを決めた。試合開始から僅か2分。最初の一連の攻撃から幸先良い先取点の奪取に成功した。

さらに6分、右サイドの杉山、藤田、茂原とボールを繋ぎ、茂原がPA外側のやや右サイドからミドルシュートを放つ。今度はゴール左隅に鮮やかに突き刺さった。前節の大宮戦で幻となったゴールのウップンを晴らすかのような積極的な攻撃で、機先を制することになった。しかし、2-0のゲームは難しい。昨シーズン、第15節の鳥栖戦と第32節の水戸戦では、このスコアから追いつかれて勝ち切れなかった。時間はまだたっぷり残っているので安心は出来ない。

前半14分、左サイドの服部からのクロスに佐藤寿がヘッドでゴールを狙うが枠の上。これが広島のファーストシュート。この後、甲府がピンチを迎えたが、丁度電話が掛かって来たために数分間空白。画面に戻ると何とかピンチを切り抜けていて安心する。前半20分過ぎには、垂れ込めていた雲から雨が落ち始めた。まるで、夕立のような激しい雨だ。

前半終盤は次第に広島ペースになっていく。得点差があるためか、雨の影響があるためか、甲府はボールを前に運ぶ積極さが影を潜める。中盤でのパスミスから広島に押し込まれる場面が増えた。須藤、シュート!ロスタイムに入った直後、左サイドからパスを受けたウェズレイが一対一(山本or秋本)をかわしてシュート。シュートは強烈でなかったが、鶴田が逆をとられた形になってゴールを許してしまった。このままズルズル守っていると追い付かれてしまうと思った矢先、このゴールで目が覚めたかのように甲府が反撃。左サイドを駆け上がった克哉のクロスを須藤が受けるや左足を振り抜く。枠を捉えたシュートがGKに弾かれたところへ太郎が詰めてシュート。直前の失点を取り返す、貴重な3点目を奪った。

前半を終えて、シュートは甲府8本、広島7本。枠内シュートの本数は共に5本。しかし、スコアは3-1。まさに、前節を鏡で写したような展開になった。

一進一退の後半だったが、18分の広島の攻撃を境に甲府が守勢に回る。右サイドを駆け上がった駒野からのクロスに佐藤寿が合わせてゴール。しかし、オフサイドの判定でノーゴール。直後も駒野からのクロスを柏木に合わせられるがCKへ逃れる。甲府は前線で須藤が裏を取る動きを何度か見せるが、中盤からボールが出ない。27分、左サイドのカウンター攻撃を防ごうとした林が痛恨の黄紙。次節浦和戦の出場停止が決まってしまった。

残り10分になって、甲府は防戦一方になる。連戦と湿度の高い雨中での戦いで体力の消耗は激しそうだ。広島はウェズレイにボールを預けて再三甲府ゴールを襲うが、体力の消耗は同じだったようで精度と強さを欠いた。終了間際、上野からの左クロスをヘッドで合わせるが鶴田の正面。そして3分のロスタイムが経過して、甲府に大きな一勝を告げるホイッスルが鳴った。

今季アウエーでの2勝目。点差以上に見ていてヒヤヒヤする試合展開だったが、とにかく逃げ切れて良かった。阿部に代わって出場した鶴田も落ち着いた守備を見せて勝利に貢献した。甲府イレブン特に、ハイボールに対しての守備は安心して見ていられた。守備陣は1点を失ったが、押し込まれた場面でも集中を切らさずに粘り強い対応を見せた。中盤はボールを中央に集めすぎて、攻撃の停滞と反撃の起点を与えた。グラウンドコンディションの影響があるかも知れないが、前節に引き続き修正が必要なようだ。そして、FWで大きな働きをしたのは、やはり、須藤だと思う。  直接ゴールを奪うことはなかったが、1点目と3点目は須藤の積極的なシュートがあったからこその得点。実戦復帰から2ヵ月半。大事な一戦で力を発揮する、頼りになる男の復活と言ってよい。もちろん、古巣相手にゴールを奪った茂原も素晴らしかった。

この勝利は次に繋がる勝利、そんな気がする。
大事な一戦
J2での'03シーズン以来、3年振りの対戦となる広島。と言ってもそれは公式戦での事で、甲府と広島は今季の宮崎キャンプで一度手合せをしている。トップチーム同士の対戦は、広島が先行して甲府が追い付くという試合展開で2-2のドロー。雨が降る、あいにくの天気のなかでのゲームだった。雨と言えば、記録的な豪雨に見舞われたここ数日の天気だが、明日の広島は晴れて気温も上昇する予報になっている。西日本では、いよいよ梅雨が明けて本格的な夏がやって来るようだ。

リーグ序盤、広島は守備の破綻からゲームを落とす戦いが続いて下位に低迷した。それでも、小野監督解任後の4試合では守備的戦術に重点を置いて2勝1分1敗で乗り切り、順位を浮上させて中断期間を迎えた。再開後はオシム門下生のペトロヴィッチ監督の下、フォーメーションを3バックに変更して二戦を戦い終えている。その二戦、再開初戦の名古屋には3-2で競り勝ったものの、前節の千葉には2-4で敗れている。3バックに本職がいないということだが、2試合で6失点と守備の歯車は噛み合っていないようだ。

一方、甲府は前節の大宮戦で前半の早い時間帯に3失点をくらってゲームプランが崩れてしまった。広島はウェズレイ、佐藤寿人の強力なFWを揃えている。ゲーム序盤で失点を重ねてしまったら、大宮戦同様に致命傷となる。前節の反省を生かし、マークを外さない集中力と粘り強い対応が必要だ。相手守備陣では、元日本代表の戸田が出場停止になる。甲府はバレーが出場停止になるが、不安定な相手守備陣に付け入る隙は十分ありそうだ。守備網を切り裂き、須藤、藤田あたりからJ1初ゴールが、そして太郎の復活弾が生まれることを期待する。

広島は千葉に近いタイプのチームプレーを模索しているようだ。そうなると、甲府としては相性は悪くない。人とボールを動かす、甲府本来のプレーが出来そうだし、連動性の熟練度では甲府の方に「一日の長」があるだろう。順位が13位と14位の対戦で、このゲームを落とすと降格争いに巻き込まれる可能性がある。再開後4連戦の3戦目。しかも、2戦続けてのアウエー。体力的にも精神的にも厳しい戦いが続く。しかし、ここを乗り切らないと次はない。そんな覚悟が必要なゲームだ。


最近4試合の成績


第15節 予想
第15節予想
※予想方法の詳細はこちら


順位表


第14節 予想と結果
第14節予想と結果
リベンジならず
第14節 7/22(土) 大宮 3-1 甲府 浦和駒場:7,493人 曇 24.5℃ 80%
大(8)グラウ(14)桜井(20)グラウ 甲(47/PK)バレー

J1リーグ再開後のアウエー初戦。前回対戦のナビスコカップ予選時よりも多くの甲府サポが駒場スタジアムに駆けつけた。京都戦終了直後は2台でキャンセル待ちの状態だった応援バスツアーだが、その後の応募が殺到したのか、最終的には3台になったようだ。

新宿、赤羽、浦和などの駅には、ひと目で甲府サポと分る姿だけでなく、よくよく見れば甲府サポと分る姿もちらほらと見ることが出来た。近隣アウエーにはそれぞれの方法で敵地に乗り込む甲府サポだが、声出し応援の数も少しずつ増えてきている。昨年の同じ頃に比べれば、2倍くらい増えたような気がする。

アウエーゴール裏を埋めた甲府サポ

再開後の連勝を狙う両チームだったが、甲府にとっては厳しい結果となった。スコアは前節の真逆。せっかく稼いだ得失点差も中断前に戻ってしまった。

出場メンバー出場メンバー

立ち上りは甲府のペースだった。ボールを回しながら攻撃の機会をうかがい、前半7分、細かいパスの交換からPA内に侵入した太郎がほぼゴール正面からシュート。 しかし、ボールはバーに弾かれて真下へ。ゴールラインを割ったかどうか微妙なまま、今度は地面に弾かれて上がったボールを詰めていたバレーがヘッドでゴールへ。ゴールネットを揺らして甲府ゴール裏から歓声が上がったが、相手DFと競り合った時にファウルがあったという判定でノーゴール。惜しい先制機を逃す形になった。

その1分後、カウンターから久永に左サイドを抜けられ、折り返しをグラウに決められる。14分には中盤でボールを奪われ、小林大のスルーパスに阿部が飛び出すが、桜井にかわされて無人のゴールに流し込まれる。さらに20分、1点目と同じような形で再度グラウに決められ、あっと言う間に3点を失った。相手の攻撃にスピードと決定力があったが、甲府は何かタガが外れたように集中力と落ち着きを失った時間帯だった。

後半早々、波戸のハンドで得たPKをバレーが決めて2点差となるが、その後は攻めあぐんで得点を奪えずに終わった。後半は大きな破綻を見せなかった守備だが、不用意なバックパスにヒヤリとしたり自陣でのミスからゴールに流し込まれたが、グラウのファウルで命拾いしたシーンもあった。攻守において何とかしなければという気持ちは見られたが、結果を出すまでには至らなかった。

試合終了後の甲府サポ試合終了後の選手挨拶
甲府のボール支配率は60%。シュートは甲府9本、大宮8本。枠内シュートの本数は共に4本。先取点をどちらが奪うかで勝負の明暗は分かれたと思うが、ゲーム内容では力の差を見せ付けられた。

特に、ゴールを奪うための具体的なイメージの有無がその差ではないかと感じた。ボールを支配する事は出来ても、ゴールを奪う動きが形として見えなかった。結果、前へ進めぬ動きがボール回しでのミスを生み、失点の起点になってしまったように見えた。個々の守備力の修正や強化が必要なのはもちろんであるが・・・
足元ばかり見ていたら回りが見えなくなってしまう。いろいろな意味で顔を上げよう。
リベンジ
明日対戦する大宮とは今季2度目の対戦となる。前回の対戦は、5/14のナビスコカップ予選。後半ロスタイムに失点して、0-1の完封負けで公式戦5連敗となった。しかし、試合内容はほぼ互角で、シュート数では甲府の方が上回った。守備陣の踏ん張りに攻撃陣が応えられず、最後に力尽きてしまったゲームだった。

前節はお互いに勝利して、リスタートを白星で飾った。大宮は中断期間中に守備練習に比重を置き、守備力の強化を図ったそうだ。一方、甲府は前節の京都戦で相手オウンゴールこそあったが、3得点と久し振りに攻撃陣が活躍した。数的不利な状況から試合をひっくり返したことは、大きな自信になったと思う。今度こそは、大宮のゴールをこじ開けて欲しい。

甲府は今季のリーグ戦でまだ連勝がない。前節の勝利で得た勢いをさらに大きなものにするために、このチャンスを活かしたい。目指せ、連勝!


最近4試合の成績


第14節 予想
第14節予想
※予想方法の詳細はこちら


順位表


第13節 予想と結果
第13節予想と結果
リスタート
第13節 7/19(水) 甲府 3-1 京都 小瀬:8,025人 曇 22.3℃ 83%
甲(49)OG(68)克哉(72)バレー 京(18/PK)アンドレ

いつもなら梅雨が明けてもいい頃だが、先週末からずっと雨が降り続いた。待ちに待った「甲府の探検」の再開だが、前日の天気予報では雨になる確率が高かった。再開初っ端のゲームから雨では残念だと思っていたら、次第に雨足は弱まり、午後にはすっかり止んでしまった。「晴れ男」大木監督の面目躍如である。

スタジアムに入り、客席を眺めたが観客の出足は鈍かった。平日という事もあるが、この雨が影響したかも知れない。それでも、キックオフ直前になると、小瀬では珍しくメインスタンドを中心に席がそこそこ埋まっていった。アウエーゴール裏には、京都サポが陣取っていた。大雨の影響により、交通機関の運休や高速道路の通行止めで小瀬行きを断念したサポの方もいた模様。恨めしい雨だ。

アウエーゴール裏ハーフタイムのヴァンくん
そして、先日のオールスター戦(カシマ)でデビューした「ヴァンくん」が小瀬で初お目見えとなった。レプリカユニを身にまとい、軽快なフットワークで場内を挨拶して回る。丁寧で腰の低いキャラは「中の人」の性格だろうか。特段の興味がなくても、おらがチームのマスコットとなれば、なかなか可愛いものである。

そんな和やかな雰囲気が漂ったキックオフ前だったが、ゲームは荒れた展開になっていった。

出場メンバー出場メンバー

試合開始早々、ファーストシュートはパウリーニョ。立て続けにFK、CKと立ち上りは京都ペース。細かいパスワークから攻撃を組立てる甲府とカウンター攻撃を狙う京都。戦前の予想通りの展開で試合は進んだ。甲府が攻勢に転じ始めた前半15分過ぎ、京都のカウンター攻撃を受ける。左サイドを抜け出したパウリーニョから中央のアンドレへ高速のグラウンダークロスが入る。僅かにアンドレは間に合わず、ボールがゴールのポスト際をすり抜けた。視線をボールから戻した瞬間、主審がPKの判定を下していた。

確かにアンドレとビジュは倒れているが、一連の動きのなかでファウルがあったようには見えなかった。唖然とするなか、ゲームは再開。甲府はボールポゼッションで上回っているが、フィニッシュ直前の動きにスピードがないためか、京都に守りきられている印象。数字の上ではシュート本数(前半10本<枠内7本>)は多かったが、決定的なものは少なかった。逆サイドでフリーになっている選手を使い切れない場面も見られた。一方、京都は再三パウリーニョが左サイドからシュートを放ったが、甲府DFにシュートコースを限定されて枠を捉えきれなかった。

PKでの失点があったものの、大崩れすることのない守備を見せた甲府DF。同点にさえ出来れば、ゲームの流れは甲府に傾く予感があった。後半開始早々の太郎のシュートは惜しくも決まらなかったが、後半4分、茂原のクロスからオウンゴールで同点(てっきりビジュが決めたと思っていた)。小瀬にリズムが生まれ始めた。しかし14分、カウンター攻撃をファウルで止めたビジュが2枚目の黄紙で退場。生まれかけていたリズムが失われるかと思いきや、思いがけない展開でリズムは増幅する。

ビジュの退場後、井上、バレーと続けざまに甲府に黄紙が切られる。前半のPKの判定に対する不信感もあった。公平さを感じられない判定の連続が小瀬に怒りのパワーを生んだのかも知れない。太郎と池端を交代してバレーのワントップ気味の布陣としていたため、2列目の積極的な攻撃参加が功を奏する。23分、右サイドから狙い済ましたような克哉のシュートがゴールネットを揺らして逆転。小瀬の熱気に後押しされたかのように、27分、バレーが左サイドから切れ込んでニアサイドに力強いシュート。ボールはポストをこするようにして勢い良くマウス内に転がり込んだ。

駄目押し点を奪って試合は終盤へ。杉山がボールのないところで相手選手との接触があったようで倒れた。攻撃中の甲府はボールをサイドラインから出してゲームを切る。ここまではよくある光景だが、その後のスローインからのリスタートの光景に目を疑った。京都がボールを返さずに攻撃を開始した。勝ちたいゲームで劣勢の状況とはいえ、あまりにも恥ずかしい行為だ。しかも、1度ならず2度繰り返した。本当にくそったれな行為だ。「紫光」の誇りはどこへ行ってしまったのだろう。

凱旋するバレーと克哉小瀬全体がこれ程までの怒りを表したのは、恐らく初めてだ。ロスタイム、アンドレのヘディングシュートがバーに弾かれたが、これは天罰だよ、きっと。

荒れたゲームで観客はヒートアップしたが、甲府の選手は数的不利な状況のなかでゲームを上手くコントロールしていた。立ち上りは動きに硬さが見られたが、時間が経つにつれて甲府らしい連動が見られるようになった。
何より、大事な一戦で結果を出したことが一番。リスタートは成功した。でも、まだまだ戦いは終わらない。これからが本番だ。
やっと再開
長かった中断がやっと終わる。

日本代表の不協和音と力なき敗北、それに対する検証すら無く、Jリーグの軽視とも捉えられる方法で代表監督の人選をしたサッカー協会、次の偶像造りに熱心なだけのメディアやタラタラ、ニヤニヤのオールスター(バレー他数選手を除く)などなど。「プロ」だからビジネスとしての側面を持つのは当然だが、「スポーツ」の持つ爽快さとは程遠い不快指数だけが上昇した日本サッカー。何だか、ツマラナイ。

手に汗を握り、心が震えるようなサッカーを見たい。選手はピッチの上で全てを表現して欲しい。そのために、監督やチームは万全の準備と方策を用意して欲しい。
言い訳や屁理屈は要らない。

全てをピッチの上で見せてくれ。
甲府はそれが出来るチームだと信じている。本物の戦いを、小瀬でやろう。


最近4試合の成績


第13節 予想
第13節予想
※予想方法の詳細はこちら
TMvsジェフ千葉
トレーニングマッチ 7/6(木) 千葉 3-5 甲府 松本平広域公園総合球技場

アルウィン4月のアルウィンは天気も試合内容も寒かったが、7月のアルウィンは梅雨空の合い間から青空が覗き、陽射しが強い好天になった。やっぱり、ここはこの時季がイイ。甲府ほどジメジメ感もなく、さわやかで気持ちが良い。

平日、そして松本での開催とは言え、久し振りの甲府の試合。多くの「VF甲府依存症患者」が姿を現すかと予想。案の定、禁断症状に見舞われた甲府サポが大勢来場していた。地元と思われる小、中学生や高校生も来場していた。W杯開催中の影響か、代表ユニのレプリカを着たチビッコの姿もチラホラ。千葉の巻選手がピッチに現れると、「まきー、まきー」と黄色い声援が飛んだ。僅かだが、千葉のレプリカを着たサポの姿も見えた。山日新聞によると、1,500人ほどの観客数になったようだ。代表監督の件もあり、多くの報道陣が詰め掛けていた。

巻選手に歓声を上げるチビッコたち観客で埋まるメインスタンド

得点・メンバー

出場メンバーと得点経過は上の表の通り。得点経過や出場選手(特に千葉の選手)は出来るだけ新聞やネット等で調べたが、間違いがあるかも知れない。間違ってたら、ご容赦を。

1本目と2本目は控え選手主体のチーム、3本目と4本目はレギュラー選手主体のチーム。それぞれ45分ハーフなので、サテライトチームで1試合、トップチームで1試合の計2試合の対戦という形になった。1試合目が午後3時にキックオフして、午後7時に2試合目が終了。

1本目。
立上りは甲府ペースだったが、ミスからカウンターを受ける展開が多くなる。阿部の好セーブで何とか防ぐが、甲府右サイドを突かれる場面が多くなり、反則で与えたFKを楽山選手に決められる。ビューティフルゴール。30分、ネトが惜しいシュートを放つ。僅かに枠の左に外れた。鶴見が攻撃に出て行く時、守備のバランスが悪くなるのかバイタルエリアが空いてしまう。そこを千葉に攻め込まれ、ポスト直撃のシュートを打たれる。終盤、田森のクロスに保坂が飛び込むが得点は奪えず。ボールは6割方、千葉が支配。

2本目。
開始早々、堀井の左サイドからのクロスに保坂が飛び込む。形になったが、ゴールにはならず。甲府FWの動きが活発になり、前線にボールが収まり始める。甲府攻勢の12分、ネトの右CKから奈須がヘッドで同点。3分後、再度CKからゴール前で混戦になり、堀井が蹴り込んで逆転。2列目になったネトが効いているが、終盤ややお疲れモード。42分、須藤が飛び出してGKと一対一になるが、シュートは枠を外れる。決めなきゃ、あかん。2本目は千葉の運動量が落ちて終始甲府ペースだった。

ゲーム前の写真撮影中盤での攻防
3本目。
トップチーム同士の対戦になり、会場に少しだけ緊張感が走る。ピリっとした雰囲気のなかキックオフ。5分、克哉からのボールを受けて太郎がシュートを放つが枠の上。試合序盤は甲府ペースで進む。茂原が柔らかいタッチでボールをさばく。林、克哉との連係プレイはスムーズでボールがよく回る。しかし、24分、ここまでピンチらしいピンチはなかったが、ビジュと鶴田の連携不足からハースにシュートを決められる。

失点以降は千葉ペース。ボールポゼッションは五分五分だが、甲府FWの動き出しが少なくチャンスが作れない。巻とビジュの激しいマッチアップに会場からどよめきが起こる。千葉はハースが水野と交代して、巻のワントップになる。終盤、DFに入った阿部が一気に前線へ駆け上がるシーンもあった。千葉1点リードのまま、終了。

4本目。
開始直後、藤田のスルーパスにバレーが反応するがタイミングが合わなかったのか空振り。5分、右CKからゴール前で混戦状態になる。2本目の堀井のゴールと同じようにビジュが蹴り込む。ラッキーとも思えるゴールで同点。同点に追い付き、甲府が攻勢に出る。山本の惜しいミドルシュートの後、左サイドでFKを得る。藤田のFKは枠を捉えるが、GKが好セーブ。続く左CKから、再びビジュが押し込んで逆転。ビジュが踊る。

千葉は2本目同様、運動量が低下。21分、直前のバックパスキャッチ(山本→鶴田)が流され、会場のざわめきが残るなか、カウンターで左サイドの藤田からのクロスを太郎がヘッドでドンピシャに合わせてゴール。藤田の運動量が前半に比べて多い。良く動けている印象。直後、バレーがGKと一対一になってシュートを放つがGKがセーブ。千葉も反撃。27分にクルプニコビッチが豪快にミドルシュートを決める。あまりの見事さに甲府サポからも拍手が起こった。巻を交代した千葉は、ストヤノフを前線に上げるなどして追撃に出たが、得点は奪えずに試合は終了した。

攻撃ではセットプレイからの得点が多かった反面、流れからの得点は1点に留まった。惜しいシーンもあったが、もう少し得点の匂いがする形を作りたいところ。この試合と韓国キャンプのTMでも、バレーがゴールを決めていないのがちょっと気になる。守備ではハースに奪われた1点は余計だったように、まだ、詰めの甘さがあるようだ。そのなかで、秋本の守備は安定感を増していた。姿が見えなかった選手の様子が気になるが、中断明けの京都戦までに十分な準備をして欲しい。

久し振りの生観戦を堪能した。得点シーンが多く、ゲームとして面白かった。やっぱり、テレビよりいいよねぇー。W杯の3位決定戦や決勝戦さえ、もうどうでも良くなってしまうから不思議だ。
届かなかったキラーパス
ブラジル戦に負けて日本のW杯が終わってから、何か釈然としない思いがずっと心の中にある。僅かな望みを掛けて挑んだブラジル戦での惨敗、そして予選リーグ敗退という結果。その事自体、もちろん大いに不満である。しかし、監督がジーコである限り、この結果は十分に想定の範囲内。敗退後、各メディアが取り上げる敗因のひとつひとつを見ても目新しいものは何もない。それらはジーコが代表監督に就任して以来、サッカーファン等によって繰り返し指摘されてきたものばかりである。予測していた心配事が現実になっただけだ。だから、「やっぱりダメだったか」という失望感はあっても、それはさほど尾を引かないと思っていた。それなのに、何日経っても釈然としない思いが消え去らない。

「選手の自主性」という名のもとに、明確な組織戦術を練り上げられなかったジーコジャパン。それでもアジア予選を勝ち抜けたし、束縛の多かったトルシエジャパンでは見られなかった奔放なサッカーが見られるものと、ないものねだりとは思いつつも期待した。世界の厚い壁に跳ね返されても、日本サッカーの進化の一端でいいから世界に見せ付けることは可能だろうと。少しくらい指揮官がアレでも、選手には力がある。「親は無くとも子は育つ」の例えではないけれど、逆に選手がまとまりを見せてくれるだろうと・・・ ・・・

しかし、そんな淡い期待は裏切られてしまった。結束を失い、もしかしたら戦う前に既に崩壊していたかもしれないチームであることが、ブラジル戦後の中田の孤立した姿によって浮き彫りにされた。まったく思いも寄らないことで、ジーコの采配云々よりもショックなことだった。ピッチに倒れた中田らしくない中田の姿が痛々しかった。さらに、追い討ちを掛けるような出来事が続く。ブラジル戦後、中田のピッチでの行為に対しての批判をテレビやネットで見聞きした。わざとらしい計算ずくめの行為、自尊心を守るための独り善がりの行為、売名行為。プロとしての姿ではないと言い切る人もいた。中田という選手が誰よりピッチで倒れることを嫌い、まして自身がピッチの上で涙を見せることなど許せない選手と知っての発言かどうかは分からないが。

チームメイトに思いが伝わらなかったのは何故か。中田の感情の発露のままの行為が穿った見方をされるのは何故か。親戚でも何でもないが、中田を不憫に思うと同時にいくつもの「何故」に思いを巡らせた。これが釈然としない日々の原因である。そして、何かしらの答えを探し出している最中、突然に「中田現役引退」のニュースが飛び込んで来た。

しばらく唖然としながらも、やはり、あの特異な光景には意味があったことを理解した。既に、引退を惜しむ様々なコメントや中田の足跡がプロ入り後の活躍を中心に各種メディアから伝えられている。ここでは、自らのホームページで発表した引退メッセージの冒頭にある「旅の始まり」から6年後の中学2年生の時のエピソードを紹介したい。以前、「ゆかいな仲間たち☆彡」、とと1mm1cmさんの記事でも紹介されている書籍からの引用である。

―――――――――――――――――――――――――――――――
 ヒデが二年生になったばかりの頃だったと思います。あるとき試合に負けて、怒りに燃えた私は例によって、「罰だ。50本ダッシュしろ」と命じました。子どもたちは不承不承ながら当然のことのように「罰」を受けたのですが、ヒデだけはベンチの脇に立って走ろうとしないのです。怪訝に思った私は、
「どうした。なぜ走らんのだ!」
と語気を荒げたのです。ヒデの答えはこうでした。
「走る理由が分からない。俺たちだけが、走らなければならないのは納得できない。皆川さんも一緒に走ってくれ。だったら俺も走る」
 私には返す言葉がありませんでした。頭の中が真っ白になりました。彼の言葉は、私の急所をもろに突き刺すものでした。試合に負けたのは選手だけの責任ではなく、指導者の責任でもあるわけです。ですから罰を選手に課す以上は、指導者も同じ罰を自らに与えなければいけないことになるのですね。
(中略)
 このとき彼は、明らかに私の命令に矛盾を感じたのです。他の子どもも同じことを感じたかもしれませんが、彼が他の子どもと違うのは、矛盾や納得できないことを、相手が誰であれ堂々と主張するところでした。
(中略)
 ヒデ少年は、ある意味では問題児だったと言えるかもしれません。中二の「事件」のとき、私が、ふざけたことを言うなと殴りつけていたら、果たして中田英寿という個性は、世界に羽ばたくことができたでしょうか。そう思うと、私は時々ぞっとすることがあるのです。

山梨のサッカー」 (山日ライブラリー) 
 第5章 世界へ広がる山梨のサッカー -中田英寿を育んだ土壌-
 著者:皆川新一氏 より引用
―――――――――――――――――――――――――――――――

著者の皆川さんは、ドイツ留学で指導法を学んだ後にフォルトゥナサッカークラブを設立した方であり、上のエピソードは甲府北中のサッカー部監督を務めていた時のものである。この著書の中で、日本の子どもたちが金太郎飴化していることや納得しないと行動を起こさないドイツの子どもたちと中田少年が類似していたことにも言及している。いずれにしても、幼き中田から繰り出された「キラーパス」は中田の個性を理解してくれた皆川さんの足元にきっちりと届いた。この出来事が中田にどのような影響を及ぼしたかは計り知れないが、ひとりの少年の可能性の芽を摘むことにならなかったことだけは確かである。

このエピソードから分かるように、メディアへの対応がプロ入り後の確執によって変化していったことを除けば、中田の性格は今も昔もあまり変わっていないことになる。成功を楯に威張っている訳ではないが、サッカーという仕事に妥協を許さず、戦い方にこだわりを持つことやピッチの内外で発せられた言葉が時には粗野なものとなって誤解を受けてしまったかもしれない。が、中田の言動を受け取る側にも、個性を発揮するものや突出する能力または成功に対する疎ましさ、羨望、嫌気とか、信義よりも排他的な雰囲気に流されやすい集団心理など、ちょっと枠からはみ出すものを容認出来ない陰湿な空気の作用を感じさせる。

残念だが、中田自身が最後と決めたこの大会で、チームメイトやW杯を見ていた一部の人たちに中田の想いを乗せた「キラーパス」は届かなかった。

「彼のような選手を手に入れるには長い時間がかかる」と次期監督のオシムは言う。強烈な個性を疎んじながら、都合の良い期待感だけは膨らませるような矛盾を内包したスットコドッコイな環境から、そう簡単にスターは生まれないだろう。中田のような選手を待ち望む事だけではなく、ピッチの内外で発した中田からの「キラーパス」をしっかり受け入れられる土壌を育てることも大事である。スターってやつは自らの輝きもあるんだろうけど、回りからの光を集めて輝く部分もあるんじゃないかと、消え行く星だけにスポットが当てられている状況を少し違和感を覚えつつ眺めている。

中田が小瀬のピッチを駆け回る姿を見たかったなぁ。
叶わぬ夢とは知りつつも、やっぱり残念。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。